日吉神社の社守猫”フーちゃん”です。
今日は8月30日 今、朝の5時。
さっきからずっと、二階の窓から、宮司さんと一緒に明けていく空を眺めています。
小鳥の囀りが聞こえて来ました。
6時になると、毎朝お参りに来る人が今日もやって来ました。
でも、フーちゃんには、ここから外へ出る元気は・・・もう残っていません。
宮司さんが、フーちゃんを抱っこして境内をゆっくりゆっくり歩いてくれました。
フーちゃんが、大好きな早朝の清々しい境内です。
「あたしは、これから何処に行くの?」フーちゃんは、宮司さんに尋ねました。
「フーちゃんは、日吉神社の境内よりも、もっと広くて、もっと大きな樹がいっぱいあって、綺麗な声で鳴く鳥さんが沢山いて、フーちゃんのお父さんやお母さん、お姉さんのミッフィーちゃんやランちゃん、お友達がたくさんいる幸せの国へ行くのですよ。
そして、好きな時に、今までフーちゃんが大好きだった境内の狛犬さんや、社務所の屋根や、桜の樹のところに遊びに来られますよ。」
フーちゃんは、また尋ねます。
「宮司さんとはもう会えないのかな?」
暫く考えてから宮司さんは、答えてくれました。
「きっとまた会えますよ。お互いに会いたいという気持ちがあればね。」
そして、こう続けました。
「フーちゃんは、今まで登っていた社務所の屋根よりもっと高いところから、みんなのことを見守っていてね。
フーちゃんは、永遠に”日吉神社の社守猫”なのだから。」
宮司さんと初めて出会ったのは、平成15年7月1日 朝7時。
丁度、神幸祭のお旅所清祓祭の日で、宮司さんはとっても忙しい朝でしたね。
9年と2カ月。フーちゃんは本当に幸せでした。
楽しい思い出がいっぱいです。
社守猫としての重責を担って、まだ9カ月。
こんなに急に、遠くへ旅立つことになってしまって、ごめんなさい。
もっともっと皆さんに、神社のことをお話したかった・・・とても残念です。
でも、宮司さんが言うように、自由にあちらこちらへ行くことが出来るのなら、風のように大空を駆巡り、もっともっと皆さんに色々なお話が出来るかも知れませんね。
フーちゃんは、永遠に”日吉神社の社守猫”なのだから!
それでも・・・・ひとまず、文月は今日旅立ちます。
皆さん、さようなら・・・・
本当にありがとうございました・・・・・
いつかきっと又会いましょうね。
社守猫 文月 平成24年8月30日 午後2時帰幽 享年10
【
鎮魂詞】
・・・前略・・・・
父母の与え給いし分霊、是の現世を罷りなば、永久の御霊の古里の神の御殿に帰るなる神の御殿は天地の永き命に異ならず、目に見えず、耳に聞こえぬ、清き渚に敷波の寄する常世の国と言う。常世の国に白雲の千重を押し分け茜さす日の若宮は立つと言う。日の若宮の高殿に代々の御霊は明る妙、照る妙以ちて身を装い、瑞の勾玉取り掛けて安く穏いにあると言う・・・・略
”文月の社務日誌”はこれからも続きます。
どうぞ、気長にお付き合い下さい。